マクロレンズのように寄れる広角単焦点「TAMRON(タムロン)SP 35mm F1.8 Di VC USD」【レビュー】

こんにちは、しゅんさんぽ(@shunsanpo)です。

5月に開催されたフォトウォークイベント「たけさんぽ広島」に合わせて、レンズを新調しました。購入したのが、TAMRON(タムロン)から発売されている単焦点レンズ「TAMRON SP 35mm F1.8 Di VC USD」です。

約一ヶ月使ってみましたので、今回も作例を交えながらレビューしていきます。

「TAMRON SP 35mm F1.8」のスペックと特徴

「TAMRON SP 35mm F1.8」スペック

  • 定価:90,000円(レンズキャップ・フード付き)
  • 発売日:2015年9月29日
  • 焦点距離:35mm
  • レンズ構成:9群 10枚
  • 絞り羽根枚数:9枚
  • 最小絞り:16
  • 最短撮影距離:0.2m
  • 最大撮影倍率:0.4倍
  • 大きさ:φ80.4mm×80.8mm(キヤノン用)
  • 重量:約480g
  • フィルター径:67mm
  • 手振れ補正効果:約3段分

「TAMRON SP 35mm F1.8」特徴

このレンズを語る上でまず特筆すべき点は、とにかく寄れることです。最短撮影距離が20cmなので、被写体が近すぎてピントが合わないというストレスは今のところ感じたことはありません。

現代レンズには必須とも言える手振れ補正ももちろん搭載。約3段分と現行レンズの中ではやや控えめな印象ですが、F1.8という明るさもあり、屋内などの暗所でも手振れを抑制することができます。

35mmという焦点距離はスナップでも使いやすい画角。簡易防滴構造なので、雨の日でも安心して使えます。

よく比較されるレンズ「SIGMA Art 35mm F1.4 DG HSM」

比較対象としてよく名前をあげられるのが、SIGMA(シグマ)から発売されている「SIGMA Art 35mm F1.4 DG HSM」です。

巷では”神レンズ”や”銘玉”と言われており、発売から6年がたった今でも大変評判の良いレンズです。とにかく解像度が高く、なおかつとろけるようなボケだそうです。シグマの公式サイトでも、「フラッグシップにふさわしい最高性能」「シグマの自信作」とまで書かれており、メーカーの自信が伺えます。

「SIGMA Art 35mm F1.4 DG HSM」スペック

  • 定価:118,000円(ケース・フード付き)
  • 発売日:2012年11月30日
  • 焦点距離:35mm
  • レンズ構成:11群 13枚
  • 絞り羽根枚数:9枚
  • 最小絞り:16
  • 最短撮影距離:0.3m
  • 最大撮影倍率:0.192倍
  • 大きさ:φ77mm×94mm
  • 重量:約665g
  • フィルター径:67mm
  • 手振れ補正効果:なし

「SIGMA Art 35mm F1.4 DG HSM」特徴

TAMRONと比較して、個人的にいくつか気になる点がありました。

まず、最短撮影距離が30cmという点。TAMRONは20cmなのでわずか10cmの差ですが、この10cmが大きい。この構図で撮りたい!と思った時に、近すぎてピントが合わないようでは困ります。少しでも寄れるレンズの方が、構図の幅も広がると思います。

そしてもうひとつ気になった点が、大きさと重さ。特に重さはTAMRONが480gに対して、SIGMAは665g。レンズの軽量化を思ってミラーレスに移行したので、もう重たいレンズは持ちたくないです・・・。

SIGMAには手振れ補正が搭載されていない、値段が高いなどもあり、最終的にはTAMRONを選びました。

「TAMRON SP 35mm F1.8」作例

マクロレンズのように撮る

最短撮影距離で撮ったのがあじさいしかありませんでしたが、ここまで寄れます。

TAMRON SP 35mm F1.8 Di VC USD作例
SONY α7RⅡ(35mm,1/100,F4.5,ISO200)
TAMRON SP 35mm F1.8 Di VC USD作例
SONY α7RⅡ(35mm,1/160,F4.5,ISO200)
TAMRON SP 35mm F1.8 Di VC USD作例
SONY α7RⅡ(35mm,1/500,F1.8,ISO200)

逆光で撮る

太陽に直接向けて撮ったり、斜光が入る状況で撮影してみました。少しゴーストは発生していますが、嫌な感じでは出ていないので個人的には全然ありだと思います。

TAMRON SP 35mm F1.8 Di VC USD作例
SONY α7RⅡ(35mm,1/160,F13,ISO200)
TAMRON SP 35mm F1.8 Di VC USD作例
SONY α7RⅡ(35mm,1/250,F2,ISO200)
SONY α7RⅡ(35mm,1/1250,F2.2,ISO200)
SONY α7RⅡ(35mm,1/2500,F2.2,ISO200)

飲食店で撮る

35mmという焦点距離は、飲食店に入ったときにも大活躍。

TAMRON SP 35mm F1.8 Di VC USD作例
SONY α7RⅡ(35mm,1/60,F3.5,ISO6400)

隣に座っている人を、頑張れば座ったままでも撮影できる距離です。50mmだとかなり厳しいですが、35mmならぎりぎり可能です。

TAMRON SP 35mm F1.8 Di VC USD作例
SONY α7RⅡ(35mm,1/60,F3.5,ISO2000)
TAMRON SP 35mm F1.8 Di VC USD作例
SONY α7RⅡ(35mm,1/60,F3.2,ISO2000)
TAMRON SP 35mm F1.8 Di VC USD作例
SONY α7RⅡ(35mm,1/60,F5,ISO640)

もちろん料理の撮影にも活躍します。寄れるレンズであることがここでも役に立ちます。

ポートレートを撮る

一般的にポートレート撮影には、中望遠レンズ(70mm~135mmあたり)がよく使われます。中望遠レンズで撮影すると圧縮効果と大きなボケが生まれ、モデルがより引き立ちます。

一方で、35mmで撮影すると背景もしっかり写し込めるため、人物だけにフォーカスした写真ではなく、「人物+風景写真」として撮影できるという特徴があります。

TAMRON SP 35mm F1.8 Di VC USD作例
SONY α7RⅡ(35mm,1/1250,F2,ISO200)
TAMRON SP 35mm F1.8 Di VC USD作例
SONY α7RⅡ(35mm,1/1250,F1.8,ISO200)
TAMRON SP 35mm F1.8 Di VC USD作例
SONY α7RⅡ(35mm,1/5000,F1.8,ISO200)
TAMRON SP 35mm F1.8 Di VC USD作例
SONY α7RⅡ(35mm,1/4000,F2,ISO100)
TAMRON SP 35mm F1.8 Di VC USD作例
SONY α7RⅡ(35mm,1/4000,F1.8,ISO100)

スナップ・フォトウォークで撮る

スナップ写真に決まりはありませんが、35mmこそスナップに最適な焦点距離だと思っています。過去に二度フォトウォークイベントにて使用しましたが、街並みから人物、道端に咲いている花まで、なんでも撮れる万能レンズです。

TAMRON SP 35mm F1.8 Di VC USD作例
SONY α7RⅡ(35mm,1/800,F3.5,ISO200)
TAMRON SP 35mm F1.8 Di VC USD作例
SONY α7RⅡ(35mm,1/500,F2.5,ISO200)

SONY α7RⅡ(35mm,1/2000,F1.8,ISO200)

SONY α7RⅡ(35mm,1/1600,F5,ISO200)
SONY α7RⅡ(35mm,1/4000,F1.8,ISO100)
TAMRON SP 35mm F1.8 Di VC USD作例
SONY α7RⅡ(35mm,1/4000,F1.8,ISO100)
TAMRON SP 35mm F1.8 Di VC USD作例
SONY α7RⅡ(35mm,1/500,F3.5,ISO200)

夕日・夜景を撮る

三脚を立てて撮影しているので、手振れ補正の恩恵はわかりませんが、夕景撮影や長秒撮影の雰囲気だけでも伝わればと思います。

TAMRON SP 35mm F1.8 Di VC USD作例
SONY α7RⅡ(35mm,1/400,F11,ISO200)
TAMRON SP 35mm F1.8 Di VC USD作例
SONY α7RⅡ(35mm,30/1,F11,ISO100)

まとめ

TAMRON SP 35mm F1.8のいいところ

  • F1.8の明るさ+手振れ補正で屋内撮影でも使える
  • 日常で使いやすい焦点距離
  • マクロレンズのようにかなり寄れる
  • 値段が安い
  • 高級感のあるデザイン

TAMRON SP 35mm F1.8のもうひとつなところ

  • なんでも撮れる焦点距離だが面白みにはやや欠ける
  • 解像度やボケは感動するほどではない
  • SIGMAよりは軽いが、それでも大きくて重たい

とにかくどんなシチュエーションにも対応できるレンズだと思います。使いやすい焦点距離、手振れ補正搭載、かなり寄れるので、つけっぱなしレンズにも最適かと思います。

しかし何でも撮れる反面、印象的な写真を撮るのが難しいレンズとも言えます。実力不足と言えばそれまでですが、極端な広角でもなく望遠でもないため、なんとなく撮ってしまうと何が撮りたかったのかよくわからない写真になりがちです。

もう一歩近づいて撮る、ローアングルやハイアングルで撮るなど、少し工夫をすることでより作品らしい印象的な写真が撮れますので、写真の練習のためにも今後も使用していこうと思います。

特にフォトウォークイベントなど、スナップ系の撮影にこれからも使っていくつもりです。